2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『塔』2012年2月号掲載歌

『塔』2012年2月号の掲載歌です。 - 包帯のような苛立ちに縛られて夜は死ぬのだそれはそれとして快速で逃れる舟よためらはず大きく曲がれおまえの時間眼を閉じてあきらめの橋を渡る時私はよく啼く夜鷹の一部昏迷すらはかなくなって(冬空に)ななかまどの実…

月桃

新しい貝よ人気の無い夜をそぞろに行けば春めく迂回終はらないことの不思議さ。甘辛き月桃水。を、肺深く吸ふ終わりつつあるのはおまへ 爆竹を振り回しをり白いジャグラー

馬酔木

ワタスゲの無き街で歩き疲れつつ屈めば我等は小さな魚今更だが人為の火照る夕暮が見つからないのだ、「苦しみたきを」我々といへば人為である所 馬酔木に酔いて嘆くオフェンス

ジンジャー

まざまざと思い返し居る朝、温く口蓋に触れる乳とジンジャア十年の不安を抱えた船として僕らは出会うためらう沖でおそらく一度しかなかった夜なのか ささやくような爆竹の春