2012-01-01から1年間の記事一覧

デフラグ

霧雨の僅かにかかる花火の夜 怯えるだろうわたくしたちは要はそれ 痩せた青柳が埋まる北国の列車に飽きている月さんざめく雨の庭園 冷えてゆく種を埋めよう甘い麺麭には白いシャツの下にデフラグされている夜を隠して (おまへののぞみ) われわれの眩しき頭痛…

水玉

いたわりの舟が着くころ南欧のことばが探している詩のかたち水玉のバリウム飲んでわがつまがことりと眠る (飴の降る夜だ)楽しげなカウントダウンを聞かせてよ ゆえに鏡の奥で鳴く小鳥

カジノ

指のごと喰われていてまた温かき部品 鳥のうずくまる外に出てゆく夢で見るカジノだったの さきざきにひと足とひと とのおわらぬ禁忌橘の、ね、枯れている、青鹿がわがつまににて背尾をみせたり、

若妻

白樺の林だったか 夕枯に飛び立つ前に過ぐる鉄塔若妻の列車に躍る型紙のような片言 間もなく雨が霧が額にかかる上海蟹の皿 温き雲すぢのパニック・シティ

踏み草。

死ぬ前の貝を見て居る 云うなれば 悪いがまた駄目だつて。うつむいているのは春。金属の匂いが渡る激しき日暮れ僕は早く知って欲しかつた。踏み草のときめきに近い夕闇の色

谷底

谷底は昏くむやみに星が降る 廃車のかげで今笑ったね立ちすくむ間合いはなくていいだろう 動くものの無い児童公園温もりは何なの君がすり減って呼ばれて消える暖かい麺

海ぎはは昏く急いでいる電車 われらが跨がるせわしなき線うたつかいの呼び声が遠ざかるとき 横たわろうか眉をひそめて驚きが触れてるくるまでシナリオは終わらずにわずかに焦げてゆく言いつのる事はなくなり悲しんでいるのはたしかしょつぱいソース大騒ぎす…

馬来西亜

熱き夜にまろぶ武装ね 銀色の双塔震え呼ぶマレーシア 旅人のように車を走らせてよい? 眠たげに言う花言葉厳かにも谷間は続き都市の見る夜が来るならば静まれ夢よ柑橘の香りのようにすり足の夜が来ている川向こうには

茘枝茶

うるうると悲しみは除水されているボール紙の箱に古るライチティー或る夜を浸す後退するわたし 見い出されないものを出来事と呼ぶ暖かい夜がデザインされていて君が止め処なく跨ぐ白線覗かせて貰おうかとでも 半開の月がビルまでせばまるあした

マッカリヌプリ

不似合ひな腰高のをんな 3月の蝦夷富士。の帯に、流れる速水少年の唄は病ひにも似て遅い 聖典の如くマッカリヌプリ青空の下には敷かれる東屋を 石狩岳には観られる人をーーーー マッカリヌプリこと蝦夷富士は実家近くにそびえたつ羊蹄山の別名。 アイヌ語の…

『塔』2012年2月号掲載歌

『塔』2012年2月号の掲載歌です。 - 包帯のような苛立ちに縛られて夜は死ぬのだそれはそれとして快速で逃れる舟よためらはず大きく曲がれおまえの時間眼を閉じてあきらめの橋を渡る時私はよく啼く夜鷹の一部昏迷すらはかなくなって(冬空に)ななかまどの実…

月桃

新しい貝よ人気の無い夜をそぞろに行けば春めく迂回終はらないことの不思議さ。甘辛き月桃水。を、肺深く吸ふ終わりつつあるのはおまへ 爆竹を振り回しをり白いジャグラー

馬酔木

ワタスゲの無き街で歩き疲れつつ屈めば我等は小さな魚今更だが人為の火照る夕暮が見つからないのだ、「苦しみたきを」我々といへば人為である所 馬酔木に酔いて嘆くオフェンス

ジンジャー

まざまざと思い返し居る朝、温く口蓋に触れる乳とジンジャア十年の不安を抱えた船として僕らは出会うためらう沖でおそらく一度しかなかった夜なのか ささやくような爆竹の春

『塔』2012年1月号掲載歌

『塔』2012年1月号の掲載歌です。 - 山査子の匂いは流れてゆくばかり 迷いつつ君は立ち上がって 今其所の熱き懸念よまざまざと留まるがいい病む船として 君の荷が引きずられてゆく砂利の道 正夢は赤いテントを張って 私等の棲まう柔らかきこちら側 低く曇天…

あけましておめでとうございます。

今年もぽつぽつ更新していきますのでよろしくお願いします。 今年もkuの写真とコラボで。 kuにも今年も使って頂きました。 ありがとう。 http://layer00.info/2012/01/15/2012/以下、今年最初の詠草です。 ーーー忘れ草と百合根の皿を盛らせよう 白い寝椅子…