2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

Venice

ひたひたと海面が迫りくる夜はわたしはわたしの迷いを思う激流は暫く無かった 一瞬でYesと言った雪崩の後は引き潮の後はことばが続かずに雲雀のような我等の隠語 そろそろと触れてくるやうな親しさを閉じ込めておく海下の街に黒塗りの芸術家よ架上にて地上の…

正夢

君の荷が引きずられてゆく砂利の道 正夢は赤いテントを張って昏迷すらはかなくなって(冬空に)ななかまどの実が枝にあるようだ飛行機はずっと眠りの中にある わななくように地平を移動眼をつむりあたためておけ症例を 情動が沁む写真を撮って

『塔』2011年10月号掲載歌

『塔』2011年10月号掲載歌です。ーーーーーーゆつくりとこの世の別れをしたのかい まだ違う、さらに違うと云いぬ夕暮れはいつか始まるものなのか 終わつた後の凪ぐテリトリー夏が来て大きくなる木を背にしよう ためらいはむしろおまえのために灰色の眼をする…

山査子

山査子の匂いは流れてゆくばかり 迷いつつ君は立ち上がって地の底に過ちがある ふわふわと行っても人為がにじみ出るビル今其所の熱き懸念よまざまざと留まるがいい病む船として