2012-09-10 デフラグ 短歌 霧雨の僅かにかかる花火の夜 怯えるだろうわたくしたちは要はそれ 痩せた青柳が埋まる北国の列車に飽きている月さんざめく雨の庭園 冷えてゆく種を埋めよう甘い麺麭には白いシャツの下にデフラグされている夜を隠して (おまへののぞみ) われわれの眩しき頭痛 階段に昼差す暗がりを手土産に
2012-09-07 水玉 短歌 いたわりの舟が着くころ南欧のことばが探している詩のかたち水玉のバリウム飲んでわがつまがことりと眠る (飴の降る夜だ)楽しげなカウントダウンを聞かせてよ ゆえに鏡の奥で鳴く小鳥
2012-09-05 カジノ 短歌 指のごと喰われていてまた温かき部品 鳥のうずくまる外に出てゆく夢で見るカジノだったの さきざきにひと足とひと とのおわらぬ禁忌橘の、ね、枯れている、青鹿がわがつまににて背尾をみせたり、
2012-06-11 兎 短歌 海ぎはは昏く急いでいる電車 われらが跨がるせわしなき線うたつかいの呼び声が遠ざかるとき 横たわろうか眉をひそめて驚きが触れてるくるまでシナリオは終わらずにわずかに焦げてゆく言いつのる事はなくなり悲しんでいるのはたしかしょつぱいソース大騒ぎすればいいだろ地下茎がウインクしてる古びたまきば夢よ先に眠ってしまへ人の夜をかどわかしつつあるひとひねり片手間がちょうどいいのだ真っ白に切り揃えておく兎の毛皮