2011-01-01から1年間の記事一覧
或る夜に眩暈の如く囚われて戦うべくして戦うおまへ悲しみが弛む瞬間を待つとしても 日々よほぼ悲しみの様に軋めよ銀いろの橋で忘れものが始まればゆるゆると河に落ちてゆく霧
『塔』2011年12月号の掲載歌です。 - ぼんやりと仮想の二階に住んでいる 曇天にまだ隠れたつもり街が水底のように暗かった。魚は壁を透かし見ている歌はみな真実では無いものとして見えるうつわの様な発話で格納庫によろめきながら入り込むひとよ昨日の用事…
『塔』2011年11月号の掲載歌です。(池本一郎選) - 椋鳥の撒き散らすす雪が見えるかい 形あることのみを記憶せよ帯えつつ二人が覗くある夜は化繊の如く凪ぐ滑らかさゆらゆらと森は眠りぬ 諦めた海ね夜霧が埋める間合いは
うらうらと含むターゲット 珍しくきみは語り出す或る死についてぼろぼろになりたいだけで 一義的には北国に降る空の塩(バーチャルなチームね ) 今夜満たされるならばふつつかにも夜はきんいろ
眠たげな顔の車輌が近づいて来ればしかめっ面の風が寄って行く柔らかに毒が回っている間それと知らされず立ちすくむ花包帯のような苛立ちに縛られて夜は死ぬのだそれはそれとして快速で逃れる舟よためらはず大きく曲がれおまへの時間 雪ん子がまわるシールド…
ひたひたと海面が迫りくる夜はわたしはわたしの迷いを思う激流は暫く無かった 一瞬でYesと言った雪崩の後は引き潮の後はことばが続かずに雲雀のような我等の隠語 そろそろと触れてくるやうな親しさを閉じ込めておく海下の街に黒塗りの芸術家よ架上にて地上の…
君の荷が引きずられてゆく砂利の道 正夢は赤いテントを張って昏迷すらはかなくなって(冬空に)ななかまどの実が枝にあるようだ飛行機はずっと眠りの中にある わななくように地平を移動眼をつむりあたためておけ症例を 情動が沁む写真を撮って
『塔』2011年10月号掲載歌です。ーーーーーーゆつくりとこの世の別れをしたのかい まだ違う、さらに違うと云いぬ夕暮れはいつか始まるものなのか 終わつた後の凪ぐテリトリー夏が来て大きくなる木を背にしよう ためらいはむしろおまえのために灰色の眼をする…
山査子の匂いは流れてゆくばかり 迷いつつ君は立ち上がって地の底に過ちがある ふわふわと行っても人為がにじみ出るビル今其所の熱き懸念よまざまざと留まるがいい病む船として
穂村弘の「短歌ください」を読んでいたら、以前も紹介した2008-11-15 - 曇3年前の投稿歌が載っていてびっくり。 短歌ください (ダ・ヴィンチブックス)作者: 穂村弘出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2011/03/18メディア: 単行本 クリック: 23回…
海上の都市を夢として閉じておく我等が恐れる政治の季節目的は鮒のようにためらわず去りゆくいささかの寛容さ記憶とは記憶の中にある街にやみくもに在る枯野のからだ
貝は砂を吐き出しながら閉じてゆく 沖の私よ忘れてしまへ立ち止まるあわひは布地の柔らかさとなり消えるが 時よ死ぬべし海に火が漂うようにあたたかい言葉が見える私の沖に
むつかしさは明るき驟雨の如く降り欲望の芽をまだ愛でておく歌はみな真実では無いものとして見えるうつわの様な発話で泣きそうになる時君を埋め尽くす言葉は砂鉄の様に逸らされる格納庫によろめきながら入り込むひとよ昨日の用事は済んだ?
私等の棲まう柔らかきこちら側 低く曇天の陽を浴びている多分襞があればいいのだと知りながら (私も君も目を伏せている)かたくなに夢よ石として冷えながら許されてある私のこころ
悲しみは消えざるを得ず遠ざかる驟雨が私の足を濡らしぬ街が水底のように暗かった。魚は壁を透かし見ている僕には金属の細胞があるから 衣のかたまりごと抱いてみるあるべきの身振りとしてまた見せらるる かくもうつぶせとは激しきを
燃えている感光紙が背を伸ばすよう思い直しぬ ふと灰が散る青き肩の荷を光らせて躓きぬ 記憶とは一回きりで良く言葉が頬を覆い隠しているらしい 行こうか、チビが見ている前でぼんやりと仮想の二階に住んでいる 曇天にまだ隠れたつもり
ふるさとによく似た荒々しき街で私が願って良いことは何眼を閉じておきながらためらうならば鏡のようなおまへの海辺表現が人を追い詰めていくように人が思い知る堕胎のすすめ
悲しみの匂いは迷っている徴であろう 魚が舐める液体早く死んでしまいたいと思います 何度も君の前でつぶやくふらふらと渡ってゆきたいその街は真綿のごとき砂鉄の匂いフリークになればいいだろ 底冷えの部屋で朝日に洗われながら青い鳥が走って居りぬ 水辺…
逸話を今賑やかに取り交わすとき オーライ、彼は息を止めていたゆつくりとこの世の別れをしたのかい まだ違う、さらに違うと云いぬフレームを越境するとき眠るとき 私はおまえの手の内にある
われわれは過程の中で眼を閉じる魚 目覚めが船の如く着く夏が来て大きくなる木を背にしよう ためらいはむしろおまえのために夕暮れはいつか始まるものなのか 終わつた後の凪ぐテリトリー
情動が夏山のごとく青かりし 日陰に育つやはらかき豆灰色の眼をすることは夏山を滑り落ち行く少女の仕草五月雨が分からなかった 青い火の如きミントの雨に降られて
君の腕は温き雨音に消えてゆく白い柱ね 甘い計画山羊の眼となり観るがいい 夕暮れに涙し夜は戦うひかりアクリルに封じ込まれた鹿を見て居りしが 汉语Hanyuの蝶の羽ばたき (名和晃平展)
怯えつつ二人が覗くある夜は化繊の如く凪ぐ滑らかさゆらゆらと炎のめぐりが明るくて遠かりき 君が守られる春ゆらゆらと森は眠りぬ 諦めた海ね夜霧が埋める間合いはビニールの白い波間にかがむ時我らは魚のようにくるまれる我々の不遜はいつか現れる青い車の…
うつ伏せになって眠りぬ われわれの海辺の様に灰は積もりつつどちらかの旗が欲しいが 片側に流されている方の旗が好きだろ椋鳥の撒き散らす雪が見えるかい 形あることのみを記憶せよ
書は青く汚れているという街に戦いのごとく拡がることば灰色のわたしの子どもに言っておく ここは彼等が知らない街だ鳥の眼が損なわれている 鳥の眼になって私はまだ眠りたい
青い湯に浸されているからたちのように間もなく痺れる記憶こどもではなくて良かった 忘却に捧げるために火を焚くおまへ過ぎゆけば歩みは歩み 目を閉じた君が変質を愛でているかなしみに間に合わなかつたはろばろと青白い場所でたたかう一人
眠る前其処は私の場所である 戦いをやめる頃のつぶやき暗やみは終わりは語りのように来てとぎれとぎれの私の恐れ昼がおが旗を振っている 今みてるのが夢ならば朝がたに風わたくしと同類 君は行使する立ち止まらないという暴力を信仰のつもり?おまへは振りか…
木の足が歩いて来るのを待っている 今夜の椅子は少し騒がしい一瞬で叙情は擦り切れるという しらしらと腕が夜に溶けてゆく昼がをの優しき顔も想像できるのだろうが 赤い持ち手を
青ざめて部屋に戻ればいいものを 白く泡立つ綿毛の北京ゆらゆらと眼には涙を借景の如く人には赤毛の額を君の純粋さはかつてと違う形を取るだろう 電話が鳴りぬ或る時は不必要だつた音を立て君は出て行く 花を付けたままあかあかと時が止まった様な顔をしてい…
月面の模様のようなストールは石膏に寄り添う影の色Creamのような海辺に座るため躓いて飲む海のスープをある朝が鏡のように目前にあり見える事を不安に思う青い湯に共に沈んでいる方の体が私=見ていない物 わたくしが培われ試されている土臭き場所 貝の生き…