2011-01-01から1年間の記事一覧

青い絹の波があたたかい 暗やみに革の小舟が現れた時さまざまに想像の城があり燃えている 布地の上を渡る火のひかり肩を竦めた鳥のやうなる羽枕 ぽとりと落ちるこの手の先で長い台詞がはじまる前にほの暗き小さな箱の様に部屋を見る四つ打ちの様にメールを打…

我々は桜に何も感じずに煙の如くたゆたう歩み伝えたい事とはなにか 白い布のあいだに煙のように入って灰のように私は眠く柔らかい煙が口蓋の中を歩いて

水槽

水槽の玉石の上をひらひらと歩む青臭き夜を道づれに我々の季節はずれる 大声で回路で叫んでいた花の道この先も今が嫌いでいいですか 冷たい風吹く未来があれば

新年2

我々は見えないものが積もる床 街にまだ見ぬ桜の気配 灰のように疾く流れてゆきたくて手に入れたあと捨てる花びら春節の水槽に火を灯そうか 空を見上げて振り回す骰子

偽証

やわやわと冬の匂いが消えるころ恋愛は死ぬと君はささやくささやいて居るのは誰かいつわりを 君と云う我 我と云う君おそらくは水仙の様に偽りを裏庭に咲かせ見ている一人

風車

われわれの特別性とは何だろう 不可能性と云う光る束知り尽くしつつある処の青い幹 逞しくあれおまえの叙情やわらかく失われてゆけばよいのだろう 一散に風に向く風車の如く

馬上

地の果てに左腕型の岩があり夢を忘れる手助けをする淋しがりのわたしが嫌い ほのお立つ線路の肌がまだあたたかい孤独と云う馬に跨れば恩寵のように砂降る ふらふらと雪人気無い街に私を置いてって そのまま黙って代補を埋めて

踊り

困難を綿毛のように浮かべつつ 冬はかがやく視覚の中でわれわれの赤毛が燃える 風下の草むらの中で赤子の如くこれ以上の萩の枝振り 踊りつつ振り返るときに広がるみどり言わないで居たら駄目なの?空間はもう踊ってる 冷たい写真

横臥

まだ何も耳を側だてないように われわれの肺が目覚める昏さ海際で母のカメラが濡れたとき 濡れた一部がわたしであればうつ伏せると冷たい花火と思はれる 鼻は冷たく柔らかい部位君は眼が閉じられる時の音楽を聴いている 石が割られる音を

あけましておめでとうございます。

今年も少しずつ更新してゆこうとおもいます。 よろしくお願いします。 では、相変わらずですが短歌近作数首。ーーー 魚のやうに貼り付いた後提案をする側として食卓に就く紅い布が大きく膨らみ僕は僕で気儘に貝を買ってゐつたりがさがさと羽が触れゆく処から…