2009-01-01から1年間の記事一覧

接触

終電の少し前から待っている翡翠のように睡る私をやすやすと缶の中身は減ってゆき暖かい赤い電車の内側濡れるそろそろ手を暖めようか永遠に朝から電気の点くホームからよこたわればノートPCは暖かく夜の寂しさに染まるのがすき50年後に牢獄の灯を消そう 正義…

塔 2009年11月号掲載歌

かなり久しぶりの更新になりました。。 - 逃れ行く欲望の線に生きている 場所が無限にあるとは措定息切らせ歪む視界の端にあり またあるのみであるかなしみの貌ぼろぼろになって落ち行くのが雪で今も古びたバスを見下ろす夢の国へ夢を見に行くざんざんと想像…

写真+短歌の合作

写真+短歌の合作を試行しました。 ありがとう>>kusamao

紅海

春に噛む柱の如き骨の味 鳥にはcreamの重しをつけて 呼ぶ声は無かった。朝は淡々とやや音も無く近づく鎖 こっそりと真夜中の道を歩くときぱちんと音を立て船が出る 月光の如く想像は喪われ怒りの枝葉を鳴らすのは朝

塔 2009年7月号の掲載歌

塔 2009年7月号の掲載歌です。 - 捨てたものの気配は軽く山査子の厚みの如く甘くくずれる 既に死んでいるからいいの茜差す嘔吐の意味を知らなくてよい 細い糸を額に感じきらきらと光る壁際に植物を置く かたばみの繁る軒先圧力を保つぎりぎりの脳髄で行…

池田亮司 +/− [ the infinite between 0 and 1]

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6/21に終了する現代美術館の池田亮司展 +/− [ the infinite between 0 and 1]にやっと行ってきた。2008年3月に恵比寿で観たdatamaticsの素材が壁一面を一直線に横断するdata.matrixに足が止まる。1枚の壁全面に投影されるdata.tronは、従来のコンサートで…

夕暮

同じことのくり返しであれ かつて弾きしピアノの音が鳴り吾を苦しめつふわふわとと歩いていると飴のやうに甘さがひかる 糸のごとしも驚きが膨れるときも信念は三半規管のしずかな重し幻想の中では、黒い鞄。ふわりと落ちゆく匂いなき空独断が招きし紅葉 ハイ…

塔 2009年5月号掲載歌

塔 2009年5月号の掲載歌です。 - 沿線の小部屋に並び表現の温きひかりに包まれている暁がひらききるころ蟋蟀の冷たくか細い姿で鳴きぬ

塔 2009年4月号掲載歌

塔 2009年4月号の掲載歌です。 - (君は何も云わない)いずれ昨日とは違ふ我らの振りをしてゆく 夜のような朝が来ていた。 暗闇の中に瞬く死にゆくこころ みんな何を楽しんでるんだか 苦しみの後に掲げる虹って奴は 10年をしても変えられぬ事ありしも …

葉書

ふかぶかと月の穂のごとき険握り 無知ゆえ戦ぐ顔のあかるさ 助け難き想い人など 冬の陽の手紙は木の葉の形で注ぐ 父母のやましさを見ゆ 大切な何かを捨つる我が内の熱

西南

懲戒のジュース ふわりと降りてきて出会うだろ法は緩い擬態化年古りし機械の甘さ いつまでの神の仕事場へいざ出勤弦高く鳴り死者の服歩き去る 振り返る時の生の弛緩は床を這う閃く夜風 老いやすく語られぬ群吸い寄せらるる

飴色

のぞまるるしづかと違い 年古りて機械の私ことりと変わる過ちと知りつつ頼る我ばかり 許されてある代償明かし父のごと君の庇護下に居たことも夜の女と呼ばれし一つゆるされているかけひきをこれからの課題としつつ流れる涙全力を出してないだろ ただあえて我…

塔 2009年3月号掲載歌

塔 2009年3月号の掲載歌です。 - 蜂鳥の如く発車す 銀色の丸き背中を誰か押したきかろやかにスターバックスに入りゆくそのかたわらの夜空の匂いさまざまなかたちがあろう 邂逅ののちはすべての希望を捨てる今日の日は虚飾に過ぎず 希望持て吐きまた喰ら…

塔 2009年2月号掲載歌

塔 2009年2月号の掲載歌です。 - 赤茶けた裸の腕がオレンジの家を抱きおり 西海岸は 貧しさが鉢の巣のごと蜜を溜め 血を流すから進むひとよは かなしみは限られた鉢のその向こう 盛られた月の皮弱くして おもむろにスイッチ入れる 棘を踏むあやうさは今…

ICC 「Light inSight展」

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ICCのライト・[イン]サイト (Light InSight) 展を見に行く。近年のICCの展示で出色の出来と思う。「拡張する光、変容する知覚」という展覧会副題の通り、各作品は光という現象を科学技術を用いて鑑賞者に新たな知覚の体験へと誘うというコンセプトに依拠し…

杉田協士「犬星展」

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杉田協士氏の「犬星展」を見に学芸大学へ行く。 映画を撮っている彼の写真は、映画と同じように人へのまなざしへの「意識」に満ちている。 街中を流れる人たち、立ち止まる人、子供の後ろ姿をとらえるショットはあくまで暖かな光に満ちている。しかし私は、…

塔 2009年1月号掲載歌

塔の2009年1月号に掲載されました。 - 想像の車が走る 夏めいた蝦夷富士の裾はあんなに暗い さまざまなかたちがあろう 手にしてはいずれ失うこの空隙も 年古りし機械の甘さ いつまでの神の仕事場へいざ出勤 若き知はゆらりたなびき暖かい曇りの空のよう…

千葉雅也のドゥルーズ論 ー フランシス・ベーコンの「歪曲する形象」

フランシス・ベーコンの絵画において、しばしば見られる、通常予測可能なイメージが座主すべき局所(顔・頭部等)が、あるべき描写からかけはなれた、ある輪郭に隔離された内部で著しい歪曲を来していることについて、ドゥルーズは「ダイアグラム」という表…