2009-06-13 夕暮 短歌 同じことのくり返しであれ かつて弾きしピアノの音が鳴り吾を苦しめつふわふわとと歩いていると飴のやうに甘さがひかる 糸のごとしも驚きが膨れるときも信念は三半規管のしずかな重し幻想の中では、黒い鞄。ふわりと落ちゆく匂いなき空独断が招きし紅葉 ハイマツの這う雲中で泥に親しむ父母の気配が鷗のように飛ぶ おとうとの作る温かき皿生き急ぐむつかしさには 覆いくる褥の陰に湿る干し草終電のすき間が見える ゆっくりとトラック曲がり入るたべもの