塔 2009年1月号掲載歌

塔の2009年1月号に掲載されました。

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想像の車が走る  夏めいた蝦夷富士の裾はあんなに暗い
さまざまなかたちがあろう 手にしてはいずれ失うこの空隙も
年古りし機械の甘さ いつまでの神の仕事場へいざ出勤
若き知はゆらりたなびき暖かい曇りの空のように落ち来る
反復を受入れてゆく 金の鳥黙り目覚める夕暮れ明く
白薔薇のめくれるままに 人生の糖分きざす耳鳴りのごと
死の代わりに君に添いたい タナトスの女神の如く虚飾を纏い